TCS認定コーチのウスイです。
コーチングのスタンスは「答えはあなたの中にある」です。
文字通り、世の中に絶対的な答えなどありませんから。
ただこの言葉は、どうにも自己啓発的な香りが漂っていると捉えられているのか、餌食にされやすい言葉かなと思っていて。
答えはあなたの中にはないかもしれない。知らんものは知らないし。と。
定義の違い
このすれ違いが起きる理由は2つあって、
1.ポジショントークとして
2.「答え」という言葉の定義の違い
です。
1.ポジショントークとして
これは分かりやすいですよね。
答えの所在が「内」にあるというポジションをとって発言することは、「外」にあるという主張の反対にポジションを取ることになる。
逆からも同じことが言えます。
自分のポジションの正当性、、というと言い方が悪いかもしれませんが、自身のスタンスを決めることは、ポジションを取ることになります。
そしてそれは、反対側の否定、にもなる。
どちらが地に足がついているか、というのは、主観の世界でしか語れないことなので論点にすらなりません。
ですが、内側の世界の話はどちらかと言うと自己啓発と断罪されることがあるので、極端に否定している場合はそう思われているんだなと思います。
2.「答え」という言葉の定義の違い
大きいのは、むしろこちらかと思います。
文脈にも左右されますが、答えはあなたの中にある、という場合の「答え」には、2つの意味があって、
あなた自身が、
・どうありたいのか
・何をしたいと思っているのか
・どうしたいのか
・どうなりたいのか
といった、いわば「理想」の話であることが1つ。
そして、人間関係にアプローチするコーチング(これはTCSだけかもだけど)においては、やっぱり人間関係にはいかなる場合において「正解はない」、という意味。
心理学的な意味合いで、大きな傾向はあるにしても、コミュニケーションは常に1on1であり、同じ言葉を使うのでも、AさんとBさんとでは受け取られ方だって違います。
例えば、「頑張れ」より「頑張ってるね」というアプローチの話があります。
ですがこれ、誰に言われるか、どういう状況で言われるか、受け取り手の性格などによって全然変わってきます。
一般論として、頑張ってるね、と言えといわれますが、「どこかで聞いた言葉だな」と思われてしまえば何も伝わることはないです。
よって、正解ではない、ということになるのです。
だから、人間関係、コミュニケーションにおいて、絶対的な正解は存在しえない。
どうひっくり返っても、自分で考え、自分の心を開示していくほかない、という意味において、「答えはあなたの中にある」ということなのだと僕は理解しています。
一方で、「中にはない」とする場合の答えとは、多くの場合が「知識」や「ノウハウ」を刺しています。
何かを「教える」というスタンスを取る以上、そのどちらかに最終的には落ち着きます。
それこそどっちが正解とかではない
だからといって、どっちが正しいというものでもありません。
それこそ、「正解」はないのだから。
理想を明確にして、現状を理解できれば、ある程度、やることというのは見えてきます。
が、具体的なノウハウというのはやっぱりあるし、そこには敬意を払いたい。
知識や知見、ノウハウというのは、自分の中にないものはないのだから、それは外から調達してくればいい。
でも一方で、「理想」は外にはないし、外にあるとするならば、それは誰かの理想を思考停止して置き換えているに過ぎません。
あなたに取っての理想は、徹頭徹尾、あなたの中にしかない。
それなしに、外からの知識をいくら詰め込んだところで、そこから得られるものから、何かを生み出すことは叶わないでしょう。
二元論に意味はない
何度も言うように、最終的に言葉にする以上、どちらかを強めに伝えることにはなります。
ただ、答えが内にあるか、外にあるかという二元論的な問いは、実はあまり意味がない。
つまらない意見でしかないですが、どっちも大事としか言えないからです。
その時点で、問いそのものがあまり価値がないとすら思います。
むしろ、内なる理想を自分の中に創り、道筋を描いて必要なことは学ぶ、というように、内と外をつなぐことに意味があると思うからです。
つまり、「答えはあなたの中にある」という言葉は誤解されている、ということが言いたいのではなく、
・答えとはどういう意味なのか
・答えはあなたの中にあるとはどういう意味なのか
このように、曖昧に見える言葉の定義をはっきり言語化することのほうがはるかに重要です。
その結果、「理想」を何が何でも手にしたいと考えるならば、コーチングには受けてみる、学んでみる価値があると自信をもってお伝えできます。
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