TCS認定コーチのウスイです。
コーチングという学問は、確実に広まって来ているとはいえ、まだまだ市民権を得るほどまでには浸透していないのが現状と思います。
そんな中で、比較的よく耳にするようになったのが
「セルフコーチング力を高めたい」
「問いの質が答えの質を決める」
というような、願いや提言です。
普段、僕も自分のコーチと対話をしたり、その影響で自分が使っている言葉の定義をかなり気にするようになりました。
言葉の定義を気にするので、当然、どういう問いにすると未来に向くのか、ということも考えます。
例えば、
・なんで自分はできないのだろう
・なんで自分はこんなに上手くいかないのだろう
のような言葉は、原因をみつけ、前に進もうとしているように見えて、視点は常に過去を向いてしまっています。
僕自身、油断したり、失敗に直面した直後、人から心無いことを言われた直後などはこのような問いを反射的に作りがちです。
問いづくりで難しいなと思うのは、こうした反射的に出てくる問いの質で、これがデフォルトで前に進んでいけるようになればいいなと思いはします。
ただ、反射レベルになると習慣ということですし、習慣ということは、ほぼ思考の癖みたいなもの。
これをアップデートするには、当面は意識的に自分が使っている言葉を気にして、修正、修正、修正…
しかないと思います。
言葉を意識するメリット
そうやって、自分の言葉を気にすると何が良いのか。
普遍的なメリットが3つほどあるなと、このところ取り組んでみて改めてわかってきました。
1.人と違う観方をしているかもしれないことに気づける
いきなり、なんで自分ではなくて人なのか、という話ですが、自分の言葉が認識できるようになってくると、人がどういう意味で使っているのかも気になってきます。
そうすると、同じ言葉でも別の意味で使っている、なんてことが結構出てきたりします。
または、まったく別のものを観ていた、というケースもあるほど。
先日、クライアントさんが「売上が伸びない」という話をしていました。
ですが、データを拝見すると、僕からはむしろ伸びているようにすら見える。
おそらく、観ているものが同じでも、別の視点から観ているからだろうと思ったので、聞いてみたんです。
そうしたら、クライアントさんは「前月比」で観ていたのに対し、僕は「昨対比」で話をしていた。
これは、言葉の定義の話からはちょっとズレるのですが、「売れる・売れない」というおなじ文脈で話をしていても、観ているものやその定義が違うと全く違う解釈を生むんだなという、当たり前の事実に気づくのです。
他にも、売れているでも、幅があったりしますよね。105%は横ばいと捉え、130%は売れているとか。これ、105%でも売れていると捉える人もいると思うのです。
要は、まず何を観ているかが気になるので、それが揃えられるようになる。
すると、話がスムーズに進むようになるんです。
視点や定義が揃うので。
2.視野が開ける
先日のコーチングセッションでのこと。
目標に向けて話をススメていた僕たちですが、どうにも話が堂々巡りをするというか、同じところに戻ってくることがありました。
誰に対して、どんなコーチングを提供していくのか。
その再定義を行っていたのですが、僕自身、「できない理由」や「どうにも上手く設定できない原因」を探りに言っていました。
そこでコーチに言われたのが、「なんか、言葉が未来に向いていない感じを受ける」というものでした。
書いたままですが、できない理由やできない原因は過去にあります。
ですが、過去の出来事は捉え方は変えられるかもしれませんが、事実そのものは変わらない。
また、原因を潰すのは、それを「問題」と捉えているからですが、その問題を潰せば未来に向かうのかといえばそうとも限らない。
できない理由というものは、基本的に潰したら次の理由が出てきます。
たぶん、一生終わらない。
であるならば、できる・できないはまず脇に置いてみて、どういう未来を観たいのか、純粋に考えてみてもいいのではないか。
そうやってからは、思考の癖の修正は必要を感じるものの、「今の自分の考えは未来に向いているだろうか?」とセルフチェックが働くようになってきたのです。
つまり、僕の目の前の視界が開けたんです。
どんなコーチングをしていくのかはこうご期待というところなのですが、見えて来ている手ごたえが得られています。
3.行動が変わる
言葉が変わると、行動が変わります。
有名なマザーテレサさんの言葉を引用するまでもなく。
ふわっとした言葉の定義からは、ふわっとした行動しか出てきません。
言葉を定義するとは、つまりは考え方が定まるということですが、考え方が定まれば、表に出てくる言動が変わっているはずなのです。
内面だけががらっと変わるということはまずないでしょう。
その人が使っている言葉、行っている行動に、その人の考え方・あり方というのは必ず出るようになっています。
それが「腑に落ちる」という状態だと思うんですね。
例えば、「あり方が大事」という言葉を本当によく目にしますが、これって結局何も言っていないのとあまり変わらなくなってきました。
みんな言ってるし、もう知っているという人は多い。
では、あり方ってなんでしょうか。
そこで、「こういうものだ」と答えられる人は、きっと普段の無意識レベルの言動にもそのあり方が現れているはずです。
だってあり方なのですから、目に見えることだって変わってないと嘘じゃないですか。
だから、言葉が変われば行動が変わるはずなのです。
相互に影響しあっているとも言えますね。
セルフコーチングの第1ステップ
セルフコーチングでは、まず自分が使っている言葉に注目し、どういう意味で使っているのかをストックしていくと良いのではないかと思います。
それだけでも、上記のようなメリットは得られるはずですので。
相手の言葉を気にできるようにもなるから、対話の質も向上すると思います。
対話の質というのは、論点がお互いに揃って話がすすめられたり、違うことを考えながら会話が進むことが無くなり、同じものを観て、それぞれの考え方を尊重しながら目的に素早く向かえるということです。
結果として、仕事の質も向上し、出せる結果もかなり変わってくるはずです。
そうやって意識してコミュニケーションを取ってきて、言葉が随分とクリアになったクライアントさんは結果よく売れるようにもなっているので、当たらずも遠からずだと思ってます。
(当たらずも遠からず、と言ったのは、ビジネスという場なので、それ相応の知識や知見は必要だからです)
前述したように、言葉が変わるので、行動も変わりますからね。
ある意味必然と言えます。
セルフコーチング力を高めるとは、自分の使っている言葉を丁寧に見極め、場合によってはアップデートする、というのが今の僕の定義ということです。
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